その21:問われるのは行動である②性格と行動の区別

(2012.01.12)

■問われるのは行動である②性格と行動の区別

 

行動でないものの第二は、自分の内面である。内面は、単純に言えば、より内側から気質、性格、社会的性格、動機がある。


人の行動は、言うまでもないが、その人の気質や性格に大きく影響を受ける。人間の内面のいちばん奥側にある「気質」と言うのは、その人そのものであり、生来のものだから変えようがなく、したがってよいもわるいもないものである。


もうひとつ外側の「性格」は、一般に幼少期の生活環境に大きく影響を受けて形成されると言われる。が、これも良いオトナになってから今さらコロコロ変わるものではない。さらに外側になると「社会的性格、職業的性格」などと呼ばれるものがある。これは職業や長年の仕事を通じて形成されるいわば第二性格である。学校の先生らしい人、商売人らしい人などとよく言う。サラリーマンの場合は、サラリーマンらしい人でもいいが、その会社の社風、つまり企業風土に大きく影響を受けていることもある。これらは、皆行動の前提であり、行動そのものではない。

 

ふつうは、生(き)のままの性格で仕事をしてもうまくゆかない。従って私たちは、愉快ではないがどうにか自分を環境に適応させようとする。本来の性格のまま振る舞っても、仕事が立派に勤まっている人がたまにはいる。お幸せな人と言ってよいだろう。しかし、仕事が変わればもはやそれは通用しない。一生自分の性格に合った専門職を貫ければとてもハッピーである。が、そういう人はごくわずかだから、私たちは好悪にかかわらず物事を「マネジメント」しなければならない。マネジメントを行うと言うのは、きれいに言えば多様なミッションに取り組み、転変常なき変化に適応し、必要な役割行動を取ることである。より平易に言えば種々雑多な混乱のるつぼに我が身を置くことでもある。よって、性格と役割行動とを、なるべく混同させないことが、一般にすぐれたマネジメントの前提であろう。もちろん、卓抜した力量を示す行動の中に、その立派なお人柄がしのばれると言うのが理想の境域である。しかし、なかなかそうはゆかないから、ここでは性格と行動はいったん区別する。単純な例を挙げよう。


あなたの目の前で、とても不適切不具合な行動を取り、周囲の同僚にその場で迷惑をかけている部下がいたとする。あなたはどうするだろうか。考えるまでもない。注意して即刻やめさせるしかない。そうしないのだったら、上司として必要な、統制力、決断力を明確に欠いていると言われてもしかたないだろう。こんなときに、「自分は、人にネガティブなことを直接指摘するのは好きでないから、しばらく様子を見よう。そのうちやむかも知れない。」などと言う判断はまずあり得ないことである。こう言う状態が、性格と、役割として取るべき行動とを混同した例である。


逆に言いたいことはすぐに言わないと気が済まないと言う性格の人だっているだろう。しかし、部下が大変な繁忙で混乱している時に、些細なミスを全部その都度その場で指摘して注意していたら、混乱に拍車をかけ、生産性も効率も一層落ちてしまうだろう。これもまた性格のまま行動して判断を誤った例である。


性格と役割行動の混同とは以上のようなものだ。あえて単純な例を挙げたが、現実には、難しい意思決定の際、私たちが、性格と行動を区別峻別するのは存外に容易なことではない。人は困難な問題解決に直面し、苦しい時ほど、性格に密接に結びついた弱みが表に出やすいからだ。つまり、採るべき道を選ぶより、自分の好悪に従い選択をしてしまう。優れたマネジャーは、そう言う自分の心理状態をいつも自覚している人だと言ってもよい。私は、いつでも自分を殺すべきだなどと言っているわけではない。任務から離れた時、家族や友人と話す時には、自分らしくすればよいのである。しかし役割を与えられたら、それを遂行する時にはそれになりきるのがマネジメントの前提である。そういう意味では、マネジメントは、すぐれた役者、俳優と同じである。

 


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