その8:集団場面と討議演習

(2011.10.17)

■集団場面と討議演習

さて対人場面の次は集団場面である。この場面は、会社の中で言えば、言うまでもなく会議、ミーティング等を指している。これもまたマネジメントの節目の場面であることは言を要しないだろう。集団の中での存在感や影響力は、マネジメント現象のうちの根幹である。
 
この場面を模して行うのが討議演習である。通例6人一班で行なう。討議演習は文字通り会議、ミーティングのイメージである。例題は、どこの組織、会社にも起きそうな課題解決、集団としての意思決定である。しかし、マネジメントの啓発のための研修であるから日常に比して、以下の点をより純化している。
 
第一に、演習例題は、常に具体的な集団コンセンサスによる意思決定を求めている。逆に言うと日常では、報告するだけ、連絡するだけ、一方的に方針が伝達されるだけと言う場面も会議と言う呼称をつけられるかも知れない。そういうものが必要ないとは言わないが、これはマネジメントが問われる場面ではない。厳しい利害や心情が葛藤した中で、チームとして進むべき方向を決することを集団場面と言っている。従って、私のところの研修で用いられるケーススタディは、グループメンバーの利害が食い違っていたり、二律背反的な状況が設定されている。そうしたときに、集団の効果的な合意を形成するのはまさにマネジャーの最重要役割のひとつだからである。                                  
第二の点だが、読者の会社で、日常の会議における最終決定がどのように行われるか、ちょっと様子を思い浮かべて頂きたい。あなたのチーム、部署の全メンバーにとって、とても大きな利害がかかった重要事を、今日はもう決めなければならないと言う会議だ。こうした時は、時間があまるなどと言うことはふつう生じないだろう。めいめいの意見を言い尽くすにはいくら時間があってもたりないと言うほうがふつうではないか。しかし刻限はきてしまう。そんな時最後にどう決まるだろうか。会議の中でいちばん序列の高い人、つまりいちばんえらい人が、会議を打ち切り、「みんなの意見は聞いたので、最後は私が決めたい。決めた以上は、みんなもそれに従ってもらいたい。」と言うだろうか。そう言えば、やはりふつうである。「みんなどうしようか」などと刻限を過ぎても言っているとしたら、それは不決断と言うのであって、民主的でもなんでもない。
 
さてこの最高序列の人の最後の行動は、何なのだろうか。リーダーシップや、マネジメントがあると言うのかどうか。これだけではよくわからない。なぜならいちばん肩書のえらい人なら、ふつうそうすると言うだけで、その行動が、真に自律的なものかどうかわからないからである。言いかえると、マネジメント能力やリーダーシップと言うのは、肩書、地位、経験、専門知識その他一切を取り払った時に、丸裸になったときに何の影響力が残るかと言う意味でもある。学者は、それに「パーソナルパワー」と言う名を付けた。
 
演習においては、それが互いにわかるようにしなければならない。だからこの討議演習では、だれが議長で、司会で、リーダーでと言うことは決めないで進める。あなたが議長ですと決まってしまえば、誰でも、統制行動を頻繁に取るだろう。そう言うふうにせず、各メンバーが対等な立場で討議に参加する。パーソナルパワーの影響力がくっきりと互いに観察できるからである。 
 
だから、ふだんの会議より、少しばかりやりにくい。しかし、それはそういう目的のためにわざとそうしているのである。会議を効率的にやるのが目的なのではなく、受講者のリーダーシップがどう現れるかを互いに観察し、ふり返るために行うのである。だから「やりにくかったからふだんの調子が出なかったとあとでおっしゃっても、以上のような理由でわざわざそう言う状況にしているのです。その上で、全員同じ条件でやっているのですからね。」と演習前に受講者に念を押す必要がある。  

この討議演習も、面接演習同様、ビデオにおさめ相互観察を行う。自分がどんな様子で討議に参加したかよくわかるわけだ。もう少し正確に言うと、このアセスメント研修は、受講者は12人なり、18人が標準人数である。仮に12人としよう。6人がまず討議演習を行う。他の6人は、その演習を観察し記録を取る。フィードバックを行うためである。それもぼんやりメモを取るのではなく、あらかじめ、誰が誰を観察するのか役割が決められている。

 


コンピテンシー面接の活用

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