その24:マネジメント能力要件

2012.02.08)

さて次に、体験学習としてのアセスメントの進め方は以上述べた通りである。深いふり返りをもたらすには、自分の行動に自分で気づき、同僚間で相互にフィードバックをするとよいことを述べてきた。そうした事実そのものが雄弁に何事かを物語っているのだから、それを示すだけできわめて大きなインパクトはある。ただ、その上でさらに、そうした行動を取った個々の事実が、マネジメント能力のどのような部分のどの程度の過不足を示しているのかが明確になるならいっそう便利であり、有用である。


ここまでマネジメント能力とかリーダーシップとかあえてばくぜんと言ってきたが、そういう意味で、ここでそれをばらばらにする必要が生じて来たようだ。マネジメント能力要件体系は、この必要から生じた。私のところでは、前述した名古屋大学大学院の若林先生に監修していただいた18の標準能力要件体系を用いている。もちろん標準であるから、お手伝いを依頼された組織に固有のマネジメント・コンピテンシー等があればそれを用いることもある。

 

人事制度論としては、実は、問題はそうした体系の設計方法の巧拙にあるのではない。いまどきは情報も豊富だし、この手の仕事に任じるスタッフも昔よりずっと深く勉強している。だから奇をてらってわざとでもやらない限りは、そう的はずれなものはできないのである。

 

真の問題は、会社として常にそうしたものを、本気で浸透させようとしているかどうかなのである。標準でも、オリジナルでも、そう大きく趣旨が異なるわけではない。たとえば、判断力や決断力を例にとると、その内容を何と表現するかは別にして、マネジャーにそう言うものは必要ないと言う組織にはまずお目にかかったことはないからである。マネジャーとして求められるマネジメント能力は、かなりの程度まで普遍的なのだ。だから、小さな違いをいちいち論じるよりも、大きな趣旨が自社の管理職、専門職、リーダー候補達に、深く浸透しているかどうかこそが問われれるべきことがらである。人材アセスメントの研修を行うこと自体が、会社として、本気で浸透させようとしているひとつの大きなあかしとなるのである。

 

そういう前提なので、私のところでは、ごく普通に個人特性、対人影響力、業務遂行能力の3本立てにしている。

 

個人特性と言うのは、多少資質に近いものも含んでいる。行動科学で言うリーダーシップの特性論の系譜を継承する用語でもある。と言って努力によって開発可能な範囲も充分ある。と言うより、企業変革のカリスマ型のトップマネジメントになるのだと言うことでもない限り、通常必要とされる範疇は、啓発による習得が可能である。活動性、積極性、ストレス耐性、インパクト、独自性の5つである。

 

この個人特性がベースになって、次の局面では、人に影響が与えられなければ仕事は進まない。だから個人特性の上に対人影響力が乗っかっている。ここになると、資質よりも、たいぶ習熟可能なスキルが入ってくる。状況は千変万化だが、効果的な対人行動はある程度まで類型化できるし、それは、経験、書物を通じて学べるからである。この範疇には、感受性、柔軟性、コミュニケーション能力、説得力、統率力の5つがある。

 

さらに、具体的に問題解決、意思決定をするとなると、他人に影響を与える前に、広く着眼し、深く考え、自分の内面と向き合い、決心しなければならない。業務遂行能力である。これは、理解力、計画組織力、統制力、人材の活用、分析力、創造力、判断力、決断力の8種類である。

 

以上で18種類である。 

 

これらは相互に掛け合わさって最終成果になる。どんなに立派な分析力を持っていても説得力がなかったら実際の効用にはならないだろう。どれだけインパクトと積極性が強くても、まるきり計画性がなければ周囲を振り回すだけで実を結ばない。そう言う意味では、本来マネジメント能力要件と言うのは、立体的構造的に掌握されるべきものである。しかし実戦上はそれでは不便なので、以下では並列的に説明する。



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