その17:役割になりきること

(2011.12.16)

第二の、演習開始前のお願いは、役割になりきること。

全員共通の体験とするために、アセスメント研修は、同じ教材を使う。そこで普段の実務上の役割とは異なる役割を遂行してもらう必要が出てくる。だからそれに速やかに溶け込んでなりきってもらわないといけない。言い換えれば、体験学習と言うのは、受講者全員が同じ役割を担ったとき、どれほど違う行動を取るかと言うことを相互に確認観察するために行うのだ。

もちろんたまたまあたったケーススタディに、溶け込みやすかった場合と、それほどでもなかった場合と、その限りでは幾分かはあたりはずれは生じるだろう。だが、臨時の役割にどれだけ速やかに溶け込めたかのみを直接評価しているのではない。反射神経テストをしているわけではないからだ(そうした迅速な溶け込みは後述「能力要件」のうち、柔軟性が高いと認められることは少なくないだろうが、それは能力のうちのほんのある部分と言うことである)。だから、各演習をゲームに見立てた時には、その「勝ち負け」自体に、私たちアセッサー(講師)は、さほどこだわっているわけではない。その人のスタートラインがどこにあったかをよく見定められるのがよいアセッサーだと言ってもよい。

より言えば、ある受講者の言動は、日頃の職務経験、価値観を色濃く反映したものとなるのは当然である。そのこと自体はよいもわるいもない。それらの経験や価値観を十分に踏まえて捨象し、その受講者の本質的行動特性を浮き彫りにするのが、アセスメント研修そのものなのである。よいアセッサーとは、それを受講者本人が深く気づくような投げかけ、質問がじょうずな人だ。

と言っても、そうした本質的な気づきに至るためには、受講者に「本気」でその役割になりきってもらわないといけない。切迫した状況設定を次々に行うのはそのためであり、もう一度改めて受講者に以下のように言ってお願いするのである。

「こんな会社のこんな役割はやったことがないと言うのは全員同じでしょうから、せっかくのこうした貴重な機会なので、あまりそう言うことは言わずに、なるべく早く役割に溶け込んでください。その方が得られるものがぐっと多くなりますから。ぜひ役割になりきってください。」



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