その20:問われるのは行動である①結果と行動の区別

(2012.01.04)

■問われるのは行動である①結果と行動の区別                 

 

さて留意点を踏まえた上で、ひとつだけ研修上の「約束」ごとがありますと言っている。それは問われるのは行動であると言うことだ。

 

正確に言えばマネジメント能力が問われるのだが、マネジメント能力と言っても目に見えない。それを可視化するには行動で表すしかない。繰り返すがその状況、節目の場面に最も適切な行動を選び、実行できることがマネジメント能力そのものなのである。

 

問われるのが行動であると言うと「そんなことあたりまえではないか」となる。だから、マネジメント能力を論じる時に問われないもの、つまり「行動でないものは何か」と問われた時にそれが明確になって区別していないといけない。

 

第一に、単純な結果や、一切のプロセスを見ない業績そのものは行動ではない。もちろん、日々の会社の実務で何より問われるのは結果であり業績である。これは当然である。

 

会社ではまず大事なことは業績である。しかし、もっと大切なことは、長い間、安定的に立派な業績を上げ続けることである。そのためには、しっかりしたマネジメント能力を築き、堅忍不抜な態度で適切な行動を取り続けるしかない。ほんのちょっとだけ中期的に見れば、必ず適切な行動を取り続ける会社と個人が高い業績を上げる。逆に、この10年、「あんな立派な会社がこんなことになってしまったのか」と言う例を、読者は幾例でも思い出せるだろう。こうした企業は、例外なく目先の帳尻を糊塗するために奔命してしまった。ごく刹那的行動に陥り、長年の信用を一瞬で失うのである。

 

しかし、現実には適切な行動を取るとすぐさま業績が上がるわけではない。逆に適切な行動を取っていないのに業績が上がることもある。アセスメントにあっては、ここをよく見通さないといけない。ここは実は受講者どうしの相互フィードバックがやや難しい点でもあり、アセッサー(講師)が必ずよく観察していなければならない。日常の例で言おう。たとえば読者が4月1日に転勤してある営業所長に着任したとする。知らない土地で、部下も全員初対面であり気心が知れない。お客様のことも何も知らない。であるのに、目標だけは、景気も冷え込んだ中で、前年比20%アップの20億円を売ってきなさいと厳命され、「困ったなあ」と途方に暮れていたとする。る。

 

ところが、4月2日以降、何もしていないのに次々向こうから注文が舞い込み、あっと言う間に目標を達成してしまったとする。

 

これが読者自身のマネジメント能力や適切な行動に基づく業績だとは誰も思わないだろう。では何のお蔭なのか。お客様に特需が生じた偶然かもしれない。競合会社が勝手に転んだのかもしれない。もっとも蓋然性が高いのは、きっと前任者が、粘り強く長年にわたりこつこつと種まきに努力していた結果なのかもしれない。あなたはちょうどその花が開いたときに転任してきたわけだ。それで賞与の評価が高くなったとしても、それは格別不公平とかそう言うことにはならないだろう。会社の中には、お互いさまのこんなことはありふれているからである。

 

しかし、アセスメントにおいてマネジメント能力を論じるときにはこれではいけないのである。あくまで状況に対して適切な行動を取ったか、だけである。この場合、まだ何も行動していないのだから何も論じることはできない。

 

ごく短期的な結果は偶然と運不運、外部環境に大きく左右される。しかしマネジメント能力とそれを表現する行動は、そのような次元を超えたより本質的な境域にあるのだ。しかし日常の環境は、以上述べたように人によって全く異なり、同一基盤に立ったマネジメント能力の比較は、膨大な労力をかけて情報収集と分析をしない限りまず不可能である。

 

この人材アセスメント研修にあっては、そうした環境を共通の演習教材と言う形で同一に設定してある。そうなると、正解と言うのはないとしても、行動がマネジメント的に適切であったかどうかが、相互にひじょうに観察しやすくなるのである。しかしケーススタディ上の「勝ち負け」と言う単純な結果が、ここで言う行動の適切さとイコールではないことはすでに述べた通りである。

 

ともあれ、まず、結果は行動ではない。

 


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